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私は喫茶店に来た。
テラス席に座って紅茶を飲んでいる。
「…ぁっ」
あの人が歩いていた。
(どこにいくんだろ。)
…
帰る途中に後ろから声をかけられた。
私は吃驚して後ろに振り向いた。
そこにはあの人が居たから…。
「この前は大丈夫だった?」
あの人はそういった。
「…へっ…」
私は意味が理解できなかった。
あの人目の前にして心臓が早く脈打っていく。
(?…この前?…。)
(この人に関係あることなんて…ない…ハズ。)
(はじめて話すのに…この前なんて…。)
とか思ってる間にあの人はつづけた。
「この前電柱に頭ぶつけた人でしょ?」
(えっ!?ぁあでも本当だし…。)
「…だっ大丈夫です。」
言いながら
(えぇ~。
あの時の人ってもしかして…。
マジでか。
どっどうしよぉ~。)
「そっか。ならよかったな。」
「はっはい…。」
(ヤバイ…このままじゃ…心臓が…。)
「あの時、オレ驚いたぁ~。
だってさ、町歩いてたらイキナリスゲー音聞こえてくるからさぁ。
オレついアンタのとこいって、なんか見覚えのある顔だなって思って…。」
(やっやっぱり…!!!。
あんなところ、よりにもよってあの人に見られてたなんてぇ~。)
「あっあの時はっ…ありがとうございました。」
私はそういって頭を下げた。
「…あぁ~そう言えばアンタあの後どうしたんだ?」
「へっ?…」
「ほらなんか"大丈夫"って言ったと思ったら凄い早さで走り出してただろ?」
あの人にそういわれても私には答えようがない。
(心配してくれてるのは嬉しいけど…。
たったしかに走ったけど…。
こんなの答えようが…。)
(だって、"頭ぶつけて、声かけられて余計に恥ずかしくなってつい逃げ出した"なんて…。)
「…。
まっいっか。
次からぶつかんないように気ぃつけろよあわてんぼうさん。」
最後の方は満面の笑みだ。
「はっはい…。
こっ今度から気を付けます…。」
「じゃっ」
あの人が帰ろうとした。
その背に私は慌てて声をかける。
「あっ…ありがとうございます…。」
(もうちょっとましなセリフを言え~自分。
恥ずかしいのはわかるけど、今しかチャンスはないかもなんだぞっ?なにか、何か言え~。)
「あっ…あのっ…こっここっ今度…。
あの…な、何か…。
おっ礼させてくださいっ!」
(私にしてはガンバった。
よくやったぞ自分~。)
もう心臓は破裂しそうだ。
「じゃぁ、また今度な。」
あの人はそういって軽く手を振ってくれた。
「はっはい。さようなら。」
私は、あの人の背中に深く頭を下げた。
あの人の姿が見えなくなって時間も経っているが、未だに私の鼓動は早く顔から熱も引かない。
(か、帰らなきゃ…。)
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