59人が本棚に入れています
本棚に追加
蝶
蝶の様に優雅に華麗に、中を舞いたいと思い、羽根を纏ってみた
けれど、私にはやはり無理だった…
どんなに美しい羽根を纏っても
どんなに飛び方を真似ても
蝶の様にはなれず、私の羽根はバタバタと音を立てていた…
其の姿は灯りを求める蛾の様だった…
何時しか私の羽根からは、鱗粉が吐き出され
苦しめるつもり等無いのに、私の周りにいる人達をどんどん苦しめていった…
やがて、自らの鱗粉で、私の肺まで苦しくなり、息は絶え絶えになっていた…
只、蝶の様になりたかっただけなのに…
所詮私は蛾にしかなれなかった…
只、只…望んだだけだったのに…
こんな姿になりたかったんじゃない……
皆を苦しめたかったんじゃない……
只…只………
最初のコメントを投稿しよう!