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ここはバビロニア帝国の中心地にある魔法使い養成学園、ランドローズ学園だ。
その名前の通り、この世界には普通なら存在しえない“魔法”がある。
魔法とは人の心を映す鏡のようなもので、その人によってそれぞれ使える魔法は違う。
そして、その魔法を修得するために作られたのがこのランドローズ学園だ。
本来、学園の理事長室では俺が推薦した生徒の面接が行われているはずなのだが…
「これ以上待たせるようならこの話しは無かったことにする。」
どうやら理事長は平民に待たされたことに腹を立てているらしい。
「あいつなら大丈夫ですよ。ほら、噂をすれば…」
悔しそうな理事長を尻目に、勢いよくドアを開ける一人の生徒がいた。身長は平均、黒髪に黒目、特に目立った特徴のない少年だ。
だが、おそらくこの平凡な少年は私が教師をしているランドローズ学園をいい意味で変えてくれるだろう。
「遅れてすいません。ちょっと来る途中でトラブルがありまして…」
ふふっ。
それは、理事長が君を入学させないための妨害だったのだか問題なくクリアしてきたな。
「いや、問題ないよ。…まあ、いろいろ聞きたいこともあるがとりあえず自己紹介をしてくれ。」
「はい!」
新しく転校してきたからであろう、希望溢れる顔で彼は口を開いた。
「僕の名前は…」
そうだ。君の名を聞かせてやれ。歴史だ、伝統だなんていってる貴族達に!
「…僕の名前はカナト。カナト=キサラギです!」
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