吉次(越後屋)

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河童、とは本来水神の使いである。 「妖怪」とはいってもどちらかというと「神」側に近い。 実際、吉次は随分と以前に柳池で溺れかけた時に助けてもらったことがある。 尻子玉というのは、 「それを抜かれると生きる気力を失い、数日寝込んだ後に必ず死ぬ」 ともいう命を左右するもので、余程の事がない限り、また使役している「水神」の赦しがなければ抜くことは 『断じてやってはならぬ』 事のはずである。 …と。 《酒でも呑まぬかよ、吉次》 文次から誘いがくる。これはよいとばかり、 《おう、いく。いく。ちょいと話す事がある》 そう返事してから…
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