881人が本棚に入れています
本棚に追加
ついさっきまでガラスに反射してしつこい程きらきら輝いてしていた太陽は沈んでいき、夕日が窓から入って景色をオレンジ色に染める。
昼間のきらきらしたのもよかったけど、こんな雰囲気もなかなかいいな、なんて思いながら朝きた道を一人で歩く。
「………、」
今日もつかれたなー。
と心の中でぼやいていると、ふと今日の撮影を思い出した。
私服のだいちゃん、可愛かったな。
携帯で遊んでるところも可愛かった。
そんなだいちゃんのことばかり考えていると自然と緩む頬。
無意識に口角が上がるのがわかった。
でも、やっぱ一人で歩くのはどこか寂しくて
きれいなこの場所に
きれいなこの空に
きれいなこの景色に
あと一人、隣に愛しい人がいてくれればどれだけいいだろう。
俺一人だけみんなより余分にソロで撮影があってすっかり遅くなってしまったから、当然みんな帰ってしまったことはわかっているけど、やっぱり俺はだいちゃんがいないとだめなんだなぁということが再確認出来た気がした。
「おつかれっ」
不意に前方から声が聞こえて顔をあげると壁に寄っ掛かりながらこっちをみて微笑んでいるだいちゃんが目にうつった。
夕日に包まれただいちゃんが輝いてみえて、微笑む顔が可愛くて
俺は目を見開いたまま固まってしまう。
そんな俺をみただいちゃんは不思議そうに首を傾げて俺の方へ近づいてきた。
「…やまだ?」
だいちゃんが首を傾げたまま俺の顔を覗きこむ。
くりくりした黒目勝ちの瞳を上目遣いにしながら俺をみるから、俺の心臓がどくんと高鳴った。
「わ、!?」
するりとだいちゃんの腕を掴んで力強く引き寄せる。
華奢な体は簡単に抱き止めることが出来て
細い肩を強く強く抱きしめた。
「…………」
「………やまだ?」
「……なんでいるの?」
「なんでって…やまだのこと、待ってた。」
「…そう。」
そう言って会話を終わらせ、さらにきつく抱きしめる。
するとだいちゃんはクスクスと笑いながら、苦しいよ、なんて言いながら身を捩らせた。
そう笑っただいちゃんが愛しくて愛しくて
しばらくの間、抱きしめた腕を離せないでいた。
最初のコメントを投稿しよう!