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ど、どどどどどうしようどうしようどうしようどうしよう。
太陽がギラギラと輝いて俺の肌に照りつける。ひゅうっと生暖かいい風に吹かれながら学校のベランダに立った俺は、汗を流しながら頭だけをフル回転させていた。
その内容は、思いの丈を伝えるか伝えないか、という、小さいようで凄まじく大きいこと。
同じ中学校で、仲良くなった山田。山田のそばにいたくて、山田と離れたくなくて山田を追いかけるように同じ高校に入った俺は、もちろん彼に友達以上の感情を抱いてしまっている。
でも、別にそばにいれるんだったらこのまま友達のままでもいっか、なんて思ってたのに。
友達のままじゃやだ、なんていままでにはない自分勝手な想いが膨らんで膨らんで、膨らみすぎて。壊れてしまいそうになるくらい大きくなってしまった。
おれをからかって不意にみせる笑顔とか、朝、おはよって言いながら頭にぽんって手を置くとことか、廊下ですれ違うときに目を合わせたりするとことか、何気ないことが全部全部、ひとつひとつが特別で。
だから、勇気を出そうと思って大分前から作っていたメール。
ほんとは直接言いたいけど、もしも振られたらなんて反応したら良いかわかんないし。
「(…よしっ!)」
何度も何度も、しつこいほど読み返して、親指に力を込めると指先が震えた。
身体中の全神経が親指に集中する。
いけっ、俺の親指。
送信ボタンを押すんだ!
「…っあ~…」
………むり、むり、むりだよー。
むり…!!
なんか、もういいかも。
やっぱり友達のままでも。
いや、でも。
あれやこれやと苦悩した結果、へたれな俺がやっぱりやめようと送信ボタンから親指を離そうとした瞬間。
「おーっす!」
う、わ
「っあ゙あぁぁあ゙あっ!!!!!!!」
「うるせー…」
あまりに突然すぎる後ろからのタックルに、押してしまった送信ボタン。
そしてあろうことか、そのタックルの犯人は、
「や、まだ…」
「こんなあっついとこで何やってんだよー」
「え、や、それは、」
「なーんかあやしいな……、ん?」
「え、」
「メールだ」
……うそーん。
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