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ほろ酔い気分の呑み屋の帰り、ボケーッと前を見てるような、いないような歩き方をしていたら、フニャッと柔らかいものに足が当たって転びそうになった。
猫が足に纏わりついている。
あー? あ、ここら辺の猫か。ほれ、さっさと家に帰れよ~
おいおい、迷子になるからあんまりくっついて歩くとアブねーぞー。
あんたねえ、この不景気に猫を飼うゆとりなんてないんだからねー
裏道を抜け、大通りまで体を足に擦り付けながらくっついてきた猫と会話する。
ここまでついてきちゃったの?
懐かれるのは嬉しい。
玄関を開けると、遠慮しつつもズカズカ入ってきた。
一宿一飯か?と言いつつ扉を少しだけあけながら閉めた。
中華丼の残りの豚バラと水を玄関のそばに置き、扉を隙間を開けておく。
肉食べたら出て行くだろうなあ
と、思っていたのに部屋についてきた。
何、それ。
明日には出て行くよ~、ついてきただけだもん。
夜中の二時に起きていた娘には猫アレルギーの友人がいる。
不機嫌な態度のまま眠った娘。
知ったこっちゃねーよ、そんなもん。つうのが親の本音だが、鬱陶しいので黙っている。
居座りを続けた猫がベッドに選んだのは本音を見たのか、意地悪か?娘のお腹の上だった。か?
気持ち良さげに動かずにいる。
重さ感じないのかなあ? 熟睡だと?
二人?一人と一匹?して、いびきをかいたのには笑ってしまった。
――これは、今更の後日談になるけれども、猫が来て一週間程たった頃、友人との会話
肉を部屋であげたの?外じゃなくて?
雨がポツポツきてたから。
雨で濡れそうになったらどこにでも、潜るよ~、猫はー
言われてみればそうだった。
普段は持ち合わせている理性が今回は働かなかった。
なんでだろう。
猫に拾われた気分だ。
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