第一章 常識に囚われない仲間達

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"弱い者"が示すものを探しながら討論する二人。 「続けて行きなさい、我が支配にある饅頭よ!」 「ゆっくり離していってね!!!」 「そのゆっくりだと言っているサル!」 ズガァッ! 「あ、これね」 天子の不意だまスウィフトを顔面に受け、首の関節が真横にひん曲がったまま、手に饅頭を掴んだ輝夜さんが答える。 「それはどのMOBがドロップしたのか教えるべき。死にたくなければ教えるべき」 「誰かが投げてきたのよ」 「あぁ、それ、衣玖さんが投げ入れてた」 生徒が挙手し、目撃談を証言する。 その衣玖さんはというと、椅子を繋げた上で仰向けになっていびきを掻いている。 「じゃあ私のよ」 輝夜の手から饅頭を奪い取る。 「あぁ、私の武器っ…。 誰か、新しい饅頭を寄越して頂戴! 一際うざい奴をよ!」 ばきぃっ! 「ゆっくりを使うなと言ったでしょマジでかなぐり捨てンぞ?」 「あい」 ついげきのグランドヴァイパを受けて首のダメージがさらに加速した輝夜さんが、コクコクと頷いた。 そこには首が異様な方向に曲がった蓬莱人の雑魚がいた。 「ゆっくりを武器に使うなんてあもりにも卑怯すぎるでしょう私はこれで蓬莱人が嫌いになったわ」 「ちょっと待ちなさいよ、不良天人」 輝夜さんは饅頭を胸元に抱えて立ち去ろうとする天子を呼び止め、次に妹紅を指で指し示す。 「こいつが、"今新しい魔法少女モノがやってる"って私に話を持ち掛けてきたのよ!」 「良かれと思ったから教えたっていうのに…。 それに最初のうちはお前だってwktkしながら見てたじゃないか」 「脚本があの人だって先に教えなさいよ! 注意が足らなかったお陰でとんでもないトラウマを抱いた上に、情弱なザマを晒しちゃったわよ」 何を口走るのかと思ったら、かなりどうでもいい原因だった…。 「お前にそこまで教えてやる義理はないよ」 「絶望した! 薄情な幼馴染みの陰謀に絶望した!」 頭を抱えて打ちひしがれながらもまくし立てる輝夜さんに、さすがの妹紅さんも呆れ顔になる。 「ったく、何年の付き合いだと思ってんのよ」 「お前の鬱憤晴らしに付き合うだけでも感謝して貰いたいよ…。 天子、これでどちらが悪いかハッキリしたでしょう?」 「見事な付き合いだと感心はするがどこもおかしくないわね」
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