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翌日は当然のように寝不足になった。
しかし当事者の輝夜さんは違うようで、すでに起きて、パソコンのモニターにかじり付いてアニメを見ていた。
というか早朝の騒ぎからずっと起きてるんだろうか? その元気さには呆れるしかない。
朝食を食べに、輝夜さんと共に食堂へ足を運ぶ。
同じように寝起きの生徒で食堂は埋め尽くされていたが、それでも私達の指定席は空いていた。
先に来ていた妹紅さんがINしていたからだ。
正確には確保してないのかも知れない。ただ、妹紅さんの周りにハタ迷惑な私達が集まってくるのを誰もが知っていたから、結果的に空いているだけなのかも知れない。
「おいすー」
「あぁ、おいすー。お前らにしては早かったね」
短く挨拶だけ済ませて、自分の朝食を乗せたお盆と共にテーブルに付く。
やがて衣玖さんも現れて、同じように席に付いた。
「お早う御座います」
「おー」
「領主娘様は?」
「まだ来てないみたいだけど」
しばらくして天子も現れる。と、何やら普段見ない姿の化け猫を頭に乗せて、食堂に入ってきた。
「!?」
だが、その後にも、奇妙な生物が次々と後を追ってくる。
「ゆっくりごはんつくっていってね!!!」
「さくやーーごはんーー!!!」
「そこで待ってなさいって言ったでしょ、お前達に食わせる朝食はネェ」
それを押し戻し、何度も出たり入ったりを繰り返す。
やがて観念したか、奇妙な生物達は食事を乞う眼差しを向けながら腰を据えて待っていた。
「ほう、経験が生きたわね」
「うー」
後で朝食をおごってやるという約束をすると、此方に走って駆けてくる。
ふぅ、と溜め息を付きながら、席に着いた。
「待たせたわね皆の衆。この子は新入りよ」
「別に待っちゃいないけど」
皆にそう伝えながら、お皿に牛乳を注ぐ天子。
ぶっきらぼうに輝夜が返事を返す。
「名前は?」
「まだよ」
机の上に乗って皿に注がれたミルクを舐める猫に、興味の眼差しを向けた衣玖さんが尋ねる。
「名前は大事ですよ、その子を呼んであげる為の名はちゃんと考えてあげましょう」
衣玖さんは、事ある毎に謎の生物を拾ってきては、天子にプレゼントしている。
今では天子の周りはカオスな事になってしまっている。
あまりの数の多さに手に負えず、天子はこうして一番新しいメンバーだけを世話する事に決めている。
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