5月14日(月) 昼

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「竜宮の使いにもまだ詳しい情報が入っていませんが、唯一伝わっているのは、試合中に何かが起こったという事だけで…。 そして、"限られた野球のルールの中で勝利条件を満たしただけ"という一文のみです」 その場に居た全員が背筋も凍るような悪寒を覚え、驚きが鬼なった。 「で、完全にほとぼりが冷めたこの期間、使わせて頂こうという訳ですね」 「早い話が、乗っ取るってわけよね」 さっそく着物の袖元を捲り上げながら、輝夜さんが前に出る。 「ちょっとの間だけですね」 「とりあえず軽ーく掃除をして、チーム結成祝いと参りましょう。 サナさん、カグさん、やってしまいなさい」 何気に語呂が良い。 骨が折れそうに感じた室内の埃の撤去だが、衣玖さんのエレキテルを調整した静電気で埃を固めて、思ったより楽に除去する事が出来た。 「ふう…。これ以上は綺麗になりそうも有りませんね」 周囲の壁やロッカーなど、立体的に視覚に写る部分を隅々まで濡れ雑巾で拭いて埃を払うも、染み付いた部分の汚れは取る事は出来なかった。 「サナさん、カグさん、もういいでしょう」 衣玖さんが音頭を取りながら、バケツの水に浸した雑巾を強く絞り、窓枠に掛けていた。 「ところで、人が減ってない?」 既視感のある室内に欠けた要素を探しながら、輝夜さんが問い掛けた。 「あぁ、天子なら、私に雑巾とモップ渡して帰っちゃいましたけど」 「な、なんだってー! ちょっと早苗、どうして止めないのよ…三人で野球は出来やしないでしょーよ!」 「いや、LSのフレからリアルTELで呼び出されたとか何とか…。 それにどのみち四人でも出来ませんよ」 「たすけてえーりーん! あーもー、どうすんのよー衣玖さーん」 途方に暮れた輝夜さんは、衣玖さんの指示を仰ぐ。 「私にいい作戦が御座います」 「なによ、さすがじゃない、打つ手があるのね」 余裕有る笑みを見せながら、コホンと勿体ぶった咳払いをする衣玖さん。 「三人でします」 「えー」 「えー」 …なぜか延々とノックを受けるはめに。 「輝夜さんもアニメの録画セッティングがあるとかで…」 「私にいい作戦が(ry」 「えー」 みなまで言う前に察しが付いた。 そしてノックは二人きりで続いた…。
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