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目を瞑ってしまいそうな強風の中、それでも王色は小鳥遊を見つめている。
「……『何者か』なんてそんな質問は無意味よ。うちはうちなんやから…」
王色は無表情なのに……どこか寂しそうに長い睫毛を伏せた。
はぐらかした答えに王色はこれ以上なにも聞くなと、意味している事が小鳥遊には判った。
「それより良いん?どっか行く途中やったんやないん?」
入り口に置かれた資料を横目で見ると、倉田初春は、あっ…と声を挙げた。
「やべ……部活」
「良いよ。一緒に持ってくから部活行けば」
小鳥遊が言うと倉田初春は首を横に振る。
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