2月課題・【肉弾戦】

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完全にタイミングを狂わされたD。そのDの無防備な脇腹に、 「──ッグ…っ!!」 Aの蹴りが刺さる。 その一撃に、Dは大きく後ろに吹き飛ばされ、まるで蹴られた空き缶の様に地面を転がって行く。 元々、Dは体格に恵まれていない。全ての攻撃を受け流す為、攻撃を受けないことを前提としているのだが…。 そのDに突き刺さった一撃は、彼に甚大なダメージを蓄積させた。 (…アバラが何本かイッたかな、これは…。) 痛む体を引きずりながら立ち上がるDは、苦笑いを浮かべながら自らのダメージを確認する、少なくとも、軽い傷ではない。 そのDに対し、 「ハッ…形勢逆転だな!!」 勝ち誇った笑みを浮かべ、高らかに宣言するA。 しかしDは、 「…かも知れませんね。だけど、勝つのは僕ですよ。」 その顔には、笑み。先程の様な余裕の笑みに、楽し気なそれを混ぜて。 何故なら彼には、 (本当は、まだ取っておきたかったんですけど…仕方ないですね。) 未だ見せたことの無い、"とっておき"があるのだから。 勝利の為に。彼はまた、構えを取る。 それを見たAは、 「チッ…。いつまでもテメエが上だと思うなよ。調子に乗ってんじゃねえ…ぞッ!!」 三度、Dに向かって真っ直ぐに突っ込んで行く。 7m。 5m。 そして、3m。 グングンと縮まって行く距離。しかしDは、 (まだ…まだだ!!) 未だ動こうとはしない。 必殺の間合いまでは、まだ遠いのだから。 そして遂に、 「これで──終わりだ!!!」 …1m。 Aがトドメを刺そうと拳を振り上げた、その瞬間。 「──此処!!」 Dは、ダラリと垂らしていた右腕を、A目掛けて力一杯振り抜いたのだった。
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