輝く夜空

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       ♯ 彼女は、静かにその部屋にいた。 ここは、なぜか落ち着く。 一人でいるようで一人でいない。 一人でいないのに恥ずかしくない。 看護婦さんに話しかける時だって、ちゃんと日本語話せていたかわからなかった。 私は無能だ。 この目の前にいる完璧になるはずだった王子様とは違って。 私も、この人のようにずっと眠っていたい。 私はそう思う。 私なんかが歩くより、アナタが歩いた道の方が綺麗に見えるでしょう♪ 私は、そっと顔を近付けた。 彼は、まるで本当に眠っているだけのように寝息をしている。 まるで、触ればすぐに起きてしまいそうだ。 私は試しにツンツン、と頬を突く。 彼はやっぱり動かない。  ただひたすらに息をしていた。 私は何を思ったか、布団を彼から外す。 彼の凛々しい肉体。 完璧なのは、顔だけではなかった。 彼には、筋肉がある。 筋肉とは、人間が動くうえで必要不可欠な臓器。 それは動かせば動かす程に増すはずなのだが、全く運動など、生きる動きを息以外にしていない。 服の外からでもわかる筋肉の
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