weather

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窓から外を覗く。 未だ雨は降り続いている。最後に太陽を見たのは4日前だったか? じめじめとした湿気で、多少苛々する。押さえようとイヤホンを耳に指し、音楽を鳴らす。やはり、音楽は素晴らしい。 延々と時間は過ぎる。私の後ろでは、たくさんの寝息が聞こえる。静かな者や、いびきをかく者、十人十色とは正にこの事だ。 音楽を聴きだして、しばらくすると家のドアが開いた。ドアに付けてあった防犯用のベルがカランカランと鳴る。 途端に土砂降りの雨の落ちる音が、部屋に入って来る。私が思っていた以上に酷い雨脚だ。 「おはようございまーす!」 若い、そして快活な女性の声が玄関から飛んでくる。 私は家の3階、宿舎でぼんやりとしていたのに、五月蝿いくらいに大きい声でもはや挨拶というよりは叫ぶ様子に、いつもながら呆れる。 下の階で、何やら慌ただしい音がする。足音は絶えず聞こえ、話声も絶えない。 煩わしく思ったので無視を決め込み、宿舎でゆっくり音楽に浸っていると、勢いよく私の背後のドアが開いた。 思わず座っていた椅子からひっくり返りそうになるが、平静を保つ。だが、私の背後で眠っていた者達は余りの騒々しさに慌てふためく。 私はその犯人を睨みつける。女。背は低め、一般的な体型に、そこそこな顔立ち。黒い髪をそのまま肩の辺りまで垂らしながら、そいつも私を睨みつける。
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