夢の見すぎはご用心。

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「ですが、ナイトメアの居所を探るにはそれしかありませんので…。」 諦めてくださいと言わんばかりの目線を送ってくるフランと極力目を合わせないように視線を反らすと、足に鈍い痛みが走った。 思わず声を上げかけて下を見ると、ダークが足に爪をたてて忌々しそうに見上げていた。 「覚悟を決めろ。ったく、女々しい野郎だな。」 「知ってる?私女の子なんだよ、ね!」 そう言って結構遠慮しないで蹴ろうとしたが、簡単に避けられてしまった。 「それに夢に入るったって…どうやって入ればいいの?」 夢に入るという行為こそナイトメアの特権だろうと反論すると問題ないと反論された。 ここの学校全てがナイトメアの魔力で満たされており、その人物に触れればナイトメアと同じように夢に入れるらしい。 「手当り次第に全校生徒の夢の中に入れって?」 「いや、ナイトメアの気配が一番強いのはここだからこいつらの中に入っているのは確かだ」 「この学校で一番ヤバイと言われている連中だぞ…」 個性が強い=夢が美味しいみたいな方程式でもあるのだろうか。 とにかくさっさとしなければダークに噛み殺されそうだったので杖を出して深呼吸をした。 (そういえば…レイくんどこに行ったんだ) 彼のことも心配だ。 もしかして日本の学校にも、シエスタが導入されたと勘違いして屋上で昼寝でもして…いや、それはないな。 「おい!!さっさとしろ!!」 「そんなに大きな声出さなくても聞こえてるっつの!!」 このクラスの中の誰かの夢の中にいるのならレイくんは無事なのだろう。 転校早々とんでもないのに巻き込まれて可哀想だな…まぁ一番の不幸者は私なんですけどね!! 「記念すべき一人目はお前だ高橋…まともな夢見ててくれよな…!!!」 恐らくこのクラスの誰よりもヤバイ夢を見ている気しかしないが嫌な事は真っ先に終わらせたいタイプなのでさっさと入ってさっさと出ようそうしよう。 彼の後頭部に触れるとそのままするすると右手が彼の頭に収まる。 「うわ…感触が無いのが更に気持ち悪い…」 「はよ行け!!!」 「え、ちょ、っ嘘!!!」 躊躇していたら後ろからダークに突進された。 お前マジで覚えとけよ。
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