4人が本棚に入れています
本棚に追加
「…。」
「…。」
気まずい。
何故転校生が隣なんだ大谷先生。
私が貴方に何かしましたか。
貴方の小テストの裏に二回連続落書きしたからですか?
貴方の奥さんとお子さん似てませんでした?
だからってここで腹いせしないでください。
あああぁぁ…貴方のどや顔が憎い。
私達の空気を察したのか前の席の男子がこっちに体を向けた。
「仕方ねぇだろ。くじなんだしよぉ。」
「仕方なくない。あれは大谷公の策略。」
「大谷公て…。今度は戦国か?」
「三國も、だよ。」
「はいはい。分かったよ魔崎。」
「…魔崎?」
「…は?!」
急に隣から声がした。
完全に前に意識を持っていっていたから声が裏返ってしまった。
前、笑うな。
「…魔崎と言うのか。」
「え、はい。」
「…何故同い年なのに敬語を使う?」
「あー、人見知りでして…。」
「なーにが人見知りだよ!なぁのぞみん!」
「黒奈は“自称”人見知りだからねー!気にしなくて大丈夫だよレイくん!」
「…あぁ、わかった。」
「分からないで下さい。」
「あ、慣れれば敬語じゃなくなるからな!頑張れ!」
何を頑張れと。
私は犬か。
「さっさと前を向いたら?大谷先生が見ているよ。」
「ん?やべ!」
冗談で言ったら本当に大谷先生がこっちを見てた。
目があったらどや顔をされたので目線で“奥さんに愛想つかされて離婚しろ!”と念じておいた。
彼は中々の愛妻家&親バカなので離婚したら多分やけ酒をして教員免許剥奪されて首をつるかもしれない。
そんな事を考えていると隣の席の“レイくん”が肩を叩いてきた。
「…なぁ。」
「何ですか。レイくん。」
「…敬語直らないのか。」
「癖なもんで。」
「…まぁいい。…この学校の案内をしてくれないか。」
「…はぁ?何故私が?」
「このクラスの人達は…なんか…あの…。」
「…馴れ馴れしい、ですか?」
「いや、口下手な俺には有り難いんだが…、急には慣れない。」
「そういうことなら。」
というわけで昼休みに校内案内をすることになりました。
最初のコメントを投稿しよう!