夢の見すぎはご用心。

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「…で、弓道部は?」 「あ、うん。こっち」 弓道場は外にあり、靴を履き替え案内した。 廊下で女子とすれ違うと全員が頬を染めて振り返った。 本人無自覚。 「見られてますよ。」と言うと「気のせい」と言う。 「目合わないんですか」と言うと「合ってない」と言う。 「あの子頬赤いですね。」と言うと「熱じゃないか?」と言う。 こだまでしょうか? いいえ、イケメンの特権です。 「ありがとう。昼休みを潰してしまってすまなかった。」 案内が終わり自席につく私達。 そして無表情のまま頭を下げるレイくん。 私的には別に昼休みなんてあって無いようなもの。 どうせ教室に居ても希美やクラスメートの話を延々と聞かされるから。 …なんであのクラスあんなに仲がいいんだ。 「いやいや、お気になさらずに。」 「さっそく今日弓道部に入部届を出す。」 「あ、弓道部の顧問は大谷先生だから言ったらどうです?」 「…こもん?」 「…え、知らないの。」 「…日本に来て、まだ日が浅いから。」 外国で必要最低限の日本語を勉強して来たんだね。 日常会話程度の。 にしても流暢だな。 流石若者飲み込みが早い。 「顧問は部活の担任みたいなもんだよ!その人が大会とか入れたりしてくれるんだよ。」 「…なるほど。」 いきなり希美が入ってきた、と思ったら私達の周りはクラスの人達ばかりだった。 見世物じゃないのに。 そんなに珍しいかお前ら。
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