火種

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特別遊撃部隊を編成することを決めた。大隊クラスで1つな。…ここまで言えば、分かるだろう?」  そこまで言うと、司令は葉山の目をじっと見つめた。葉山はこくりと頷く。 「つまり、我々213部隊は転属、というわけですか。我々の戦闘力と機動力は遊撃部隊にはもってこいですしね」 「そういう事だ。一応辞退することもできるが、どうする?頼めるか?」 「元より我々は日本の人民、国土、財産を守るのが使命です。拒否する理由は見当たりません」  葉山は目に静かな闘志を燃やして引き受けた。隣で綾先も頷く。 「いい心構えだ。活躍を期待しているよ。」 「ありがとうございます」  葉山と司令はガッチリと握手した。 「用件は終わりだ。」  司令は箱に入った葉巻を一本取り出して吸い始めた。 「「失礼します」」  葉山と綾先は敬礼をして退室し、扉を閉じた。 「また大きな仕事を引き受けましたねぇ。大丈夫なんですか?」  小隊宿舎に戻る途中、葉山の横を歩く綾先が不安げに訊いた。 「多分、な。戦争をしてるんだ。何があるか分からない。ましてや遊撃部隊、最前線だ。最悪、俺の隊から死傷者を出す可能性もある。」  葉山は少し暗い返事を返した。
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