好きになったらダメですか?

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「そこのアンタあぶね──っ!!」 「へっ?」 いきなりの声に苺がそちらを振り返ると自転車が宙に浮いていた。 それも確実に地面に落下しかかって。このままでは苺に激突する手前の状態だった。 (う、嘘でしょっ…) 苺は直感的に危ないと感じ頭を抱えた。このまま私は大怪我をしてしまうんだ、凄く痛い思いをするんだ、と思い目も瞑った。 しかし想像していた痛みは来なかった。 「あ…あれ‥?」 辺りを見回すとさっきまで見えてたモノ全てが幻だったかのようになくなっていた。 「さっきの声…男の子‥だった…?」 「男だと何か問題あんのかよ?」 今度は苺の背後から声が聞こえた。 苺は聞いた事のない低い声に恐る恐る振り返った。 そこには明るい茶髪をワックスで立てカッターを第2ボタンまで開けたすらっとした身長の青年が不機嫌そうに立っていた。 苺は思った。この人はヤクザの人だ、不良だと。 清純なお嬢さん育ちの苺にとって茶髪は不良だという偏見があった。 そのせいか恐怖で体が震えてしまっていた。 「お?お前…青琳高校のせ」 「──き…きゃぁああぁあっ!!!!」 物凄い悲鳴を上げると苺は全速力で走って逃げ出した。 残された青年はと言うと─── 「チャリ置き場知ってるか聞こうとしただけなんだけど‥ι」 呆然と立ち尽くして苺の行動に開いた口が塞がらなかった。 この青年こそが苺の高校生活の運命を替える諸悪の根源である。
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