灰色な中学時代~序章~

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「え~と、なになに……『風見鶏さんへ 今日は作品の更新がないようですが……体調を崩しちゃいましたか? もしも、崩されているのなら無理をせずに休んでくださいね。 P.S 風見鶏さんの作品にでてくる空也君にベタ惚れですぅ』……うぅ……本当に良い人だよな……メーテルさんは」 思わずディスプレイを見る瞳に雫が浮かぶ。 本当は体育の疲れで執筆できないだけなのに……こんなにも心配してくれるなんて……それに小説に出てくる主人公も褒めてくれるなんて……あぁ……罪悪感で死ねそうだよ。 ちなみに風見鶏とは僕がサイト内で名乗っているハンドルネームだ―――ん、また説明口調になっているような……まぁ、いいか。 「え~と、『メーテルさんへ ご心配なく! 体調は芳しくありませんが、ダウンするほどではありません♪ 今日は大事をとりますが、明日からはメーテルさんのためにも頑張って更新します!』と……う~ん、ちょっと飾り過ぎかな?」 女の子(ネット上だから男の可能性もあるけど……)と会話のやりとりをすることなんて皆無な僕は、う~んう~んと唸りながらもエンターキーを押して返事をした。 すると、五分も待たずに返事がきた。 『そうですか、すごくホッとしちゃいました! 作品も楽しみですけど、実は風見鶏さんとこうやって話すのも楽しいんですよね♪ 少しでも早く良くなりますように願いを込めて、風見鶏さんにプレゼントです!』 コメントと一緒に僕が執筆するラブコメ小説の主人公とヒロインのツーショットの絵が添付されていた。 しかも、二人は僕の大好きなホームズちゃんとワトソンちゃんのコスプレ姿を披露している。 『うわ~可愛いですね♪ 空也も皐月もとっても喜んでいると思います! P.S ホームズちゃんの次回作が気になって夜も眠れません(>_<)』
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