灰色な中学時代~序章~

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「や、やったぁーー!!!!」 一体何時以来だろう? 僕は座っていた椅子が倒れることなどお構いなしに立ち上がり、大声をあげながらガッツポーズをとっていた。 あまりの嬉しさに軽やかなステップを踏んでみるが、体の深部まで刻まれた筋肉痛に阻まれ、錆びついたロボットダンスになっていたのが残念極まりない。 「おっと、喜んでいる場合じゃなかった! 早速返事をしないと!」 倒れた椅子を直した僕は再びPCの画面へと向き直り、キーボードを叩く。 作者とファンという関係ではなく、友達となったメーテルさんとのネットを介した会話はいつまでも続くのだった。 夜も深まり、メーテルさんとの会話を切り上げた僕は高潮した気分のままベッドの上に寝転がり、枕を胸に抱いたままゴロゴロと転がった。 「うぅ~うぅ~嬉しいなぁ……良かった……本当に良かったな~♪」 口を出るのは喜びの声。 放課後の憂鬱だった気分は嘘のように霧散している自分に呆れながらも、それでも僕は喜びを抑えることができなかった。 「うぅ~うぅ~早く明日にならないかなぁ? 早くメーテルさんと会話がしたいな」 我ながら、初めて恋人ができた思春期の男子みたいな浮かれっぷりだ。 ん、待てよ……もしも、このままメーテルさんと仲が深まったら……いやいや、ないない! そ、そんなメーテルさんと恋人とか、そんな嬉しいこと、いやいや!!
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