灰色な中学時代~序章~

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覚醒は唐突に。 頬を焦がす夕日と、少しだけ肌寒い風に僕の意識は浮上した。 「うぅ……うぐぐ、ぐるるぅ……」 喉からは獣の唸り声が―――というよりも、眠気を求める情けない声が漏れている。 どうやら迂闊にも机に突っ伏して爆睡をしてしまったらしい。 体力Dマイナスな僕が珍しく体育のマラソンなんてものに力を入れたのがそもそもの間違いだ。 空っぽになった体力を少しでも回復させようと体を休めているうちにうたた寝を始めてしまったみたいだ。 でも、机に突っ伏すという休息には不向きな姿勢だったため、体は休まるどころか間接は強張り、若さゆえの筋肉痛が全身を襲う始末。 口元の涎を拭う動作ですら悲鳴をあげたくなる惨状である。 「はぁ~唯一満足できたのは睡眠の欲求だけか……やれやれ、本当に僕ってば、運動神経がないなぁ……秘めた才能とかあればいいのに」 ん~と背筋をググイと伸ばしながら、改めて放課後のお気に入りスポットを見渡す。 埃とカビの匂いが入り混じった知識の宝庫―――小説で語るならば、そんな表現をすべき空間に僕はいる。 我ながら厨二病くさい表現だ。 まぁ、事実僕は中学二年生だから間違いじゃないか。
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