灰色な中学時代~序章~

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「ねぇねぇ、可憐ちゃんところで、今日はどんないいことがあったのかにゃ?」 「ん、何のこと?」 「とぼけようなんざ百万年早いぞ弟! うりうり♪」 頬をぐりぐりと人差し指で弄りまわす姉さんは心底楽しげだ。 誤魔化そうにも姉さんの笑顔を見ていると、僕もなんだか嬉しくてついつい今日の出来事を話したくなった。 「実はね……僕、友達(ネット上だけど)ができたんだ」 「―――」 その瞬間、楽しげだった姉さんの顔から一切の感情が読めなくなってしまった。 その理由に思い当たる節があった僕は、姉さんに『友達関連』の話をしてしまったことを酷く悔やんだ。 わかっていたはずなのに……僕が思っていた以上に未だに姉さんの心には『過去』の事件が尾を引いているのだろう。 「そっか……うん、良かった良かった! いやいや、本当にホッとしたねぇ~」 にゃはははと、わざとらしく笑いながら姉さんは優しく僕の頭をポムポムと叩いた。 でも、僕はその姉さんの優しさが酷く心を絞めつける。 「ごめん……ごめんよ、姉さん」 「コラコラッ、何で謝るのさ? ……むしろ、あっしが本当は謝るべきでしょう? うん、本当にダメな姉ちゃんで申し訳ないっす」 姉さんはお調子者の笑みを浮かべる。 だけど、弟である僕にはそれが僕を守るためのフェイクだとわかってしまう。 「姉さん……何度も言うけど、姉さんのやったことは間違いじゃないよ。 僕は姉さんのやってくれたことを心から感謝しているんだ」
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