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僕にとって一日の中で最も酷な時間とは何か?
それは朝の教室に入る瞬間だったりする。
毎日、毎日繰り返していることとはいえ、教室に入るのには勇気がいる。
「お、おはよう」
「おぅ、おはよう」
「おはよう鈴宮君」
喉を詰まらせながらも挨拶をすると、クラスメイト同士で雑談していた人たちの何人かが僕の挨拶に応えてくれた。
でも、それだけ。
そこから世間話に発展することはない。
皆、僕のことなんて知らんぷりして、友達同士の雑談に戻っていく。
必然的に教室の入口にポツンと一人残された僕は、がっくりと肩を落として自分の席に着いた。
改めて周囲を見渡すと、教室というのは縄張り争いのように思える。
それぞれいくつかのグループに別れ、あたかも派閥のような勢力を作り、最も強い発言力を持ったグループがクラス全体の行動指針を決めていると言っても過言ではないだろう。
そして、このクラスにおける僕の発言力というのは、無派閥の新人君ばりに低い。
なんせクラスに友人のいない僕は、自分の意思をクラスメイトに伝える術を持たないため、巨大な派閥が入り組む教室では僕の存在など、道端に転がる石コロと同レベル……いや、それ以下かもしれない。
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