灰色な中学時代~序章~

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「う~ん、教科書を入れ替えた時に間違えて置いてきちゃったのかな? あ~~やる気が削がれたな……はぁ」 思わずため息をついてしまう。 もちろん、白紙のノートに続きを書くこともできる。 でも、前回の続きを確認しながら話を進められない以上、どうしてもモチベーションが維持できない。 仕方ない。 今日は授業の予習をしながら暇を潰すか。 がっくりと気分は落ち込ませながらも、鞄から教科書類を取り出した僕はひとまず机にそれらを押しこんだ。 くしゃり。 「ん?」 その時、机の中で紙が潰れるような音がした。 自慢ではないが、僕は置き勉という怠慢はしない。 当然、宿題や保護者に渡すプリント類を置いていくなんてもっての外だ。 だから、机の中は常に空っぽな状態である筈の机から紙が潰れる音がすることは到底ありえない事態だった。 「むぅ~~さては、誰か紙くずを押しこんだな?」 頬を一人で膨らませて、負機嫌をアピールしつつ、一度教科書類を机の上に置き、両手を机の中に突っ込む。 「むむむ、犯人はお前だな!?」
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