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机の中から引き出したもの。
それは片手の中に納まるサイズで、感触からしてプリントやポケットティッシュなどの類ではなく、もっと固さのある紙片。
例えるなら―――そう、本に挟む『しおり』のような感触だった。
僕は机の上に手を置き、ゆっくりと握りしめた手を広げて紙片の正体を確かめた。
結論から言えば、僕の予想はニアピンだったといえるだろう。
それは確かに『しおり』のような形で、『しおり』のような固さを伴うものではあったが、用途はまるで違う。
「これって……僕の図書室の貸出カード?」
それはしおりに良く似た図書室の貸出カード。
本を借りる度に借りた本の名前と日付が記入されていく紙片。
本来、図書室の貸出カウンターに納まっている筈の貸出カードが何故か机の中に押し込まれていた。
何かの弾みに紛れ込んだ可能性もあるだろうけど、僕はその可能性が皆無であることを誰よりも知っていた。
何故なら、僕は図書室に通う日々を送っていたが、図書室の本を一度たりとも借りたことがない。
つまり、貸出カウンターに本を借りに出向いたことがない僕が図書室の貸出カードに触れる機会はなかった筈なのだ。
それじゃ、一体何故僕の机の中に貸出カードが残されているのか?
―――その回答はホームズちゃんに出てくる密室殺人事件よりも簡単だった。
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