灰色な中学時代~序章~

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バクンバクンバクンッ!! 一体何の音とお思いの方もいらっしゃるだろう。 ええ、想像の通りです。 僕の荒ぶる心臓の音です。 ガクガクガクガクッ!! ええ、この音はもちろん僕の膝が大爆笑をしている音ですよ。 図書室の入り口前で僕は十数回目の深呼吸を行ったが、何一つとして緊張は解れることはなかった。 開口一番、彼女になんと声をかければいいのだろう? ぱっと頭に浮かんだのは三つの選択肢。 1.やぁ、お待たせハニー 2.好きだ、僕のものになれ! 3.僕と君は前世から結ばれる運命だったのさ! ……ぶっちゃけろくな選択肢がないように思う。 ただ、弁明くらいはさせていただきたい。 僕は生まれてこのかた、一度も彼女ができたことがない。 こんな放課後の図書室に憧れの先輩に呼び出される嬉し恥ずかしいドキドキイベントとは疎遠な14年間を送っていたのだ。 だから、多少の妄想やニヤケ顔には目を瞑ってもらいたい。
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