灰色な中学時代~序章~

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クラスに挨拶をする程度の知り合いはいるけれど、一緒に放課後や休日に遊ぶことは無いし、部活や恋愛で青春を共にし、一喜一憂する仲の友人は皆無だったりする。 それはとても寂しくて、辛いことだと思う。 だけど、人生の負け犬のような生活にはもうある程度慣れてしまった―――いや、僕は諦めてしまっていた。 友達は欲しい。 だけど、踏み出す勇気は無い。 人付き合い、交遊関係の構築が苦手な僕は家族の心配を減らすために『普通』を装い、図書室で一人寂しく『普通』の学生が帰宅するであろう時間まで暇を潰しているのだ。 「うぅ……考えると欝になりそう……はぁ、そういえば今日のノルマは全然達してないよなぁ……」 目の前に広げられた大学ノートは白紙。 本来であれば、そこには無数の文字が列挙してなくてはならないのに、体力が底をついていた僕は惰眠を貪り、自分に課していたノルマを達成できていなかった。 「ごめんなさい、数少ない読者の皆様方」 ポツリと見知らぬ誰かに謝罪の言葉を呟き、鞄に僕が抱え込んだ『秘密』の一つを詰め込む。 そう、僕には人様には公にできない三つの秘密があるのだ――格好良く言ったものの実際には公にできる友人がいないだけだけどね、アハハハ、涙がこぼそうだ。 自虐ネタで笑うのはさておき、一つ目の秘密を紹介しようと思う。 あれ? さっきから、僕はどうして説明口調なんだろう? まっ、いいか……一つ目の秘密は、携帯小説でラブコメを執筆することが趣味なオタクであること。 毎日放課後の図書室で大学ノートに話の骨子(プロット)を書き、帰宅してからプロットを元に創作活動に勤しむ毎日を送っている。
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