灰色な中学時代~序章~

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内気な性格と公にできない趣味が複雑に絡み合い、僕の友達をつくりたいという願いを阻んでいるように思う。 いや、それは言い訳かな? 結局、僕自身がいろんなしがらみを乗り越えていないチキン野郎ってことだ……トホホ。 「はぁ~~本当に僕ってば駄目人間」 今日も今日とて自己嫌悪し、鞄を担ぎ、トボトボと図書室の入口を目指す。 図書室の扉に手をかけた僕はさりげなく、不自然なほどの自然さを装って本の貸し借りを行うカウンター席をちらりと盗み見た。 そこに僕の二つ目の秘密が――――片想いの女神の姿があった。 黒を基調とした学生服を身に纏った女神を一言で表現するならば、『闇』だ。 背中を覆い隠すほど長く、光沢のある黒髪は、うなじ付近で二房に分けて結わえられているのだが、髪を結わえているリボンは深紅に染まっている。 前髪は本来瞳にかかりそうな程の長さなのだが、ヘアピンで前髪は左右にに押さえられ、顔の造形が露わになっている――のだが彼女の顔立ちは筆舌し難い。 何故なら無駄に整い過ぎているのだ 世界に蔓延る美女と呼ばれる女性達の顔部品を集めたと言っても過言じゃない。 感情を読ませない猛禽類ネコ科を想像させる瞳、触ったら柔らかそうな色素の薄い唇、清純という単語を彷彿させる真っ白な肌。 昨今の成長著しい若者とは反し、彼女の背は小学生でも十分通じそうなほど低く、思わず後ろからギュッと抱きしめ、頬ずりをしたくなる衝動にかられてしまう。 さらに、彼女の特徴を挙げるとするなら理知的で、真面目な印象が強い黒縁眼鏡をかけていることだろう。 見る人によっては影を愛する柳の幽霊に、または蔵書を愛する守人に映る。 僕にとっての彼女は……寺野沙織【てらの さおり】先輩はもちろん後者だ。 彼女はいつも図書室のカウンター席で細々と、誰かと干渉することを拒むように瞳を伏せつつ、読書に勤しんでいる。
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