灰色な中学時代~序章~

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告白する勇気―――は残念ながら僕にはない。 1%でも可能性があるなら頑張ってみようとも思うが、100%振られるとわかっていてアタックするような自虐行為はしたくないのだ。 振られた時は、注いだ感情の分だけ痛みを負ってしまう。 欲求の赴くままに感情を爆発させるなんてナンセンスだ。 そんな経験は…………二度とごめんだ。 だから、僕が覚悟すべきなのは、『独り』に慣れること。 孤独な僕と彼女がいた空間を失っても大丈夫なように……図書室で過ごす放課後から退出することが望まれる。 苦痛がないといえば嘘になるけれど、いつまでも叶わない夢を願い続けるのは疲れるだけだ。 だから、僕は安易な世界から辛い現実に引き返そう。 この空間は怠惰過ぎた。 いつも独りだった彼女に、親近感と恋愛感情を持ったことは決して褒めるべきじゃない。 僕は僕、彼女は彼女。 お互いに干渉しないからこそ、居心地の良かった場所。 理想も憧れも、夢も希望も見ている時が一番幸せなのだ。 自らの欲望で穢すまでもない。 さぁ、帰ろう。 二度と振り返らずに、終わってしまった片思いを嘆こう。 さようなら、寺野先輩。 一度も交わらないでいてくれたあなたが僕は大好きでした。 ―――カチリッと、その時運命の歯車は噛み合い、ギシギシとゆっくりと軋みながら、新たな動力を生み出す。 錆びついた歯車が奏でる不快な音はゆっくりとだが、確実にその音色を力強いものへと変えていく。 ターニングポイントの遭遇を祝福―――いや、嘆くように。
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