灰色な中学時代~序章~

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自宅へと無事帰還し、晩御飯を作ってくれた母親に感謝しながら食し、お風呂で一日の疲れを癒した僕は自室のデスクトップのPCの電源を押した。 「さてと、今日は小説を更新できないことを謝罪しないとな……」 どのような謝罪の言葉を書き綴ろうかと考えを巡らせていると、真っ暗だった液晶画面に一人の女の子の姿が浮かぶ。 襟を立たせたチェック柄のコートの下には赤と白を基調としたフリフリの魔女っ子ドレス。 頭には大きなピンクのリボンがついたショーロックホームズハット(wikiで調べたら、鹿撃帽ともいうらしい)を被っている女の子。 彼女の名前はホームズちゃん。 僕の大好きなアニメ魔法推理少女ホームズに出てくるヒロインである。 密室殺人事件や誘拐事件、はたまた不可思議な暗号の事件も知力は一切使わず、魔法だけで解決するという斬新過ぎる設定で一部の層で大人気の新感覚魔法少女ものだ。 『謎は全て解けたよ! 私の魔法で万事無理矢理解決しちゃうよ♪』 この決め台詞で虜になったオタクは僕だけじゃないと力強く言える。 先日セカンドシーズンが終わったけれど、ホームズちゃんの親友であり、同じ魔法少女でもあるワトソンちゃんが裏切るという衝撃的なラストを迎えたため、もっぱらサードシーズンへの期待が高まっている――――とまぁ、そんな僕個人の趣味はさておき、携帯小説サイトにアクセスしなければ。 カチカチ。 ネットのブラウザを立ち上げ、お気に入りのフォルダに登録しておいた携帯小説を扱うE☆エブリスタのサイトにアクセスする。
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