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次に青年が目を覚ました時、目前には真っ青な空が広がっていた。
(え、いきなり外…?
しかも体の自由が効かないし…って、俺、今赤ん坊だったっけ…。
それより周りに人気がないんだが、まさか…)
そう、そのまさか。
青年は老人の粋な計らいにより赤ん坊にまで戻され、しかも何故か籠に入って荒野の真ん中に置き去りにされていた。
(誰かの子供として産まれるんじゃなかったのかよ?!
このまま誰にも見つからなかったら確実に死ねるぞ…。)
しかしそんな青年、いや、赤ん坊の心配もすぐにかき消される事になった。
「おい、空花(コンファ)見てみろよ!やっぱり何か落ちてたじゃねーか!」
声を張り上げ近寄って来ているのは、声からして男。しかし足音はもう1つしている。
「本当にあったわね。
どういう視力してるのよ陸徒(リクト)わ…。」
呆れたような口調で話ながら近寄ってくるのは、声からして女性。
(もしかしてこの2人が俺の両親に…?)
赤ん坊の心配を余所に、男と女は赤ん坊が入った籠を覗き込んできた。
「ぅえ?!何でこんな所に赤ん坊が!?」
「赤ん坊?!生きてるの?大丈夫???」
赤ん坊を見て驚愕する2人。
こんな荒野のど真ん中に元気な赤ん坊がいるんだから驚くのも仕方がない事である。
「ど、どうするんだよ、この子…。このまま放置していく訳にもいかないし…。」
「いいじゃない、私達で育てましょうよ?
そろそろ落ち着いて暮らしてみるの面白いと思うわよ?」
戸惑う男、端や女の方は「これも運命よ」とか「ねぇ~、お願~い」とか言いながら男の腕にしがみついておねだりしている。
結局そんな女のおねだりに負けた男は、渋々といった様子で赤ん坊の入った籠を持ち上げるのだった。
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