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(おかしい、魔法の出力がどこかに抜けている。詠唱に不備はねぇし・・・)
魔法の使用者だけが知り得る、その魔法の出力。その低下に、カノンは気づいていた。しかし、なぜ抜けていっているかは、カノンにすら知り得ることはなく。
「ついでに言っておくが、ふぇふすじゃなくフィフスだ。死ぬ前に勉強になったな」
「死ぬっていっちゃったよこいつ!!」
カノンの言葉に、不良の一人が全力でツッコンだ。その時、カノンとその回りに不思議な空間が広がった。
「!?」
「!?」
「っ・・・?」
若干置いてきぼりだったティガを始め、その場にいる人間は一様に驚愕し、辺りを見回した。
ただ一人、カノンを除いて。
(この空気、長距離移動の魔法によく似ている。しかし、どこか違う。出力が明らかに違うし・・・!?)
そして、頭の中で考察し、あることに気づいた。
(この魔力、俺のものじゃねぇか・・・!)
そして、さらに違和感に気づく、頭上を見上げると、先程までそこにあったはずの巨大な火の玉が、跡形もなく消えてしまっていたのだ。
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