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俺は目を疑った。
「……だよな?」
今シーズンのニューモデルを着たスキー客。しかも板は限定版っぽい。そのスキー客はレストハウスの前でリズミカルにポン、ポンと板を外し、置き場に立てかけた。そしてゴーグルを上げて、板に付いた雪を手で軽く払いのけた。女の子……って言っても俺とそう変わらないか。その子は板にワイヤー錠を掛けるとレストハウスに入っていった。
「ヤギ、あれヤギが開発した板でしょ」
「ああ、そうらしい」
「しかもウェアがヤギと色違いじゃん」
俺は手にしていたスキースクールのゼッケンを同じインストラクターの酒井に押し付けた。
「ヤギ?」
「悪い、ちょっと行って来るわ」
スクール小屋の前にいた俺は吸い寄せられるように彼女が立て掛けた板を見に行った。やっぱり俺が開発に携わった限定版、シリアルナンバー入り。レディースの003番。ってことは予約開始日の早い段階で予約した、ということか。
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