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「ああっ、すみませんっ」  彼女は爪を眺めてるうちにテーブルに置いたコップを倒し、俺に謝ってきた。 「ごめんなさい、すぐ拭きますから」  彼女は慌てておしぼりで拭こうとしたが、おしぼりが水分を吸い取らず、逆に水を押しやってしまった。 「やっ……!」 「……ああっ!」  彼女は慌てた。その水はカウンター上に置いた俺の携帯を濡らしていたから。防水機能があるとは言えど濡らすのは良くない。俺は急いで携帯を取り上げた。 「ご、ごめんなさい……」  眉をハの字にして困った顔をしてる。壊れたかと心配しているんだろう。俺の中の悪魔は悪知恵を働かせた。 「あ、画面がチカチカして……あれ?、真っ白だ……げっ、壊れた」 「あ、や、やだ。すみません、どうしよう……」 「あーあ……」 「べ、弁償します」  彼女はまた眉をハの字にする。彼女の困った顔が面白くて、つい、からかいたくなる。 「弁償っていっても領収書のやり取りとか面倒だし……」  彼女は俺の着ていたスクールの赤いウェアに視線を落とした。上下とも真っ赤。胸には“スキースクール”の文字が刺繍されている。 「あのさ、スキースクールのレッスン受けてよ」 「スクール?」 .
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