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 ユキは可愛かった。普段のように突っ掛かるような台詞を口にしたりはしなくて拍子抜けもしたが、いつもとは正反対のユキに俺はやられた。恥ずかしげに俺の顔を見たり、俺の胸に顔を埋めたり、かといって、俺の上に乗せれば自分から動いてみたり、素直に俺の体に従ってくれた。  途中ユキは俺の首筋にキツくキスをしてキスマークを付けた。なんの悪戯かは分からない。俺は俺の上に乗っていたユキを下ろして覆いかぶさり羽交い締めにしてキスマークのお返しをした。首に胸に二の腕に、そこらじゅう服で隠せる部分に跡を付けた。誰にも渡したくない、誰にもこの体を見せたくない、せめてこの跡が消えるまでは俺のユキでいて欲しいと思った。  しばらくしてユキは俺の背中にしがみついて、俺もユキの中で果てた。始末をしてユキに腕枕をする。このまま朝までいたいと思う。朝、もう一回やりたいと思う。でも朝から除雪のヘルプに行かなきゃならないし、何よりこれ以上一緒にいたら離れられなくなりそうで怖かった。ユキは明日になれば浦和に帰る。正月休みが終われば仕事に戻る。そこに生活の基盤があってそこに生き甲斐を感じているユキを雪山に縛り付けてはおけない。  ただユキの前髪を指で梳き、耳へと流す。ユキは応えるように俺の顔を見る。好きだと言ってやればどんな顔をするだろうか、今度いつ来るんだと聞けばどんな答えが返ってくるだろうか、付き合おうと言えば首を縦に振るだろうか。でも雪山でしか生きられない俺は無責任にそんな台詞を言うことは出来なかった……。 .
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