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 元カノとはこのスキー場で知り合った。友達とシャトルバスで来ていて、俺からゲレンデで声を掛けた。ってか目の前で彼女がコケて、仕方なしに手を貸した。そこにタイミング良く現れた酒井が勝手に2対2の合コンを取り付けた、という流れだった。  守ってあげたくなる子だった。一人じゃ何も出来ないというか、かと言って自分から甘えてくるタイプでもなくて、俺が気付くと遠慮がちに物を頼む、そんな感じの子だった。俺が気付いてやれなければ我慢してしまう子。 「ヤギさん、午後ご指名です。お願いします」  カフェテリア内にあるスクール受付の奴が申込書を持ってきた。 「サンキュ」  それを受け取り目を通す。青山ユキ、27歳、さいたま市浦和区。会社員。へえ。俺と2つ違いか。  俺はその申込書をたたんでウェアのポケットにしまった。 .
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