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 そんなことを思い出しながらリフトを1本降りたところだった。ホテルから従業員へ一斉送信のメールが入る。業務連絡。 「県道でスリップ車多発。特にベル・駐車場スタッフお客様に注意を促してください」  またか、と思う。思いながらユキが心配になった。一言伝えよう、そう考えてゲレンデを探す。昼時で休んでるかもしれないと麓のレストハウスも探す。もしかしたら中腹のロッジにいるかもしれない、とリフトに乗る。案の定、ロッジのスキー置き場にはワイヤーで固定されたユキの板が立てかけてあった。  中に入る。混雑したレストランの中、ユキはケーキを半分に切り、隣の泣いている女の子に取り分けていた。母親が頭を下げ、礼をしている。恐らく知り合いとかではなく、泣いている子供をほっとけなかったんだろう。 「おう。ここだったか」  俺はその家族に相席を乞い、空いてる椅子に座った。 「下のレストハウスにいなくてさ。こっちだったんだな」 「……」  ユキの様子がおかしい。何かあったんだろうか。顎にシワを寄せている。 「あの坂道でスリップした車が何台か立ち往生してるらしいからホントに気をつけて帰れよ」 「……」 .
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