3234人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ、照れてるのか? ユキって意外とウブなんだ?」
とユキをからかってみれば顔を赤くする。でも無言で俺を睨みつける様は怒ってるようで、昨夜ベッドの上で可愛い声を出したユキとは全くの別人だった。
「……合コンに出たって本当?」
「ああ、あれ」
「女の子送って行ったって本当?」
……なんでそこまで知ってるんだ? あの後俺を付けた訳じゃあるまいし。
「ああ。だってしょうがねえだろ。あれは……」
「い、言い訳するの?」
「ヤキモチかあ??」
酒井だ! 今朝から玄関でベルスタッフのヘルプに入ってる。チェックアウトしたユキに酒井が声を掛けない筈がない。
「ムカつく! あんたみたいなチャラ男に妬いたりしないわよっ」
「なんだよ、人を遊び人みたいに」
「今日だってご指名入ってんでしょ?? どうやって連れ込むか考えながら教える訳?」
「アホ」
「ア……」
酒井だと分かったはいいが、ユキは誤解とも知らずに誤解を解く間もなく言葉を乱射する。まるで俺が遊びでユキを抱いたと思われてるようで腹が立った。つい応戦してしまう。
「今日の子は去年教えた子が直々に俺を指名してきてさ」
「なあんだ、去年のうちに唾付けてたんだ?」
「当たり前だろ。お前なんかより若くて素直で可愛い子だし」
「なっ……!」
「ちゃんと可愛くおねだりもするぞ、キスして、って」
「……」
.
最初のコメントを投稿しよう!