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「ちょうど良かった」
「何が、ですか?」
「携帯。元カノの写真入ってたし」
「なら、尚のこと……」
ほら、またオロオロする。何かを言いだげに口ごもるのも元カノに似てると思った。
リフトを乗り継ぎ頂上近くまで行く。当然コブ斜面の上級者コース。勿論、林間の迂回コースもある。
「右は林間迂回コース。左はコブ斜面」
インストラクターの俺の云うことを真面目に聞く青山ユキ。足元から彼女のスタイルを見る。限定版の板、ブーツ、ストック、それに合わせたウェア。デザインはデザイナーにお任せで幾つか出してもらった案から採用したが、間違いは無かったと確信した。上手くトータルコーディネート出来てると感じた。後は板の滑り具合だ。
「まさかその格好で緩斜面はないよな??」
「え?」
リフトの乗り方や降りた後の足裁きで初心者ではないのは分かっていた。
「それ、ニューモデルだろ、全部」
「はい」
「その板で初心者コースをボーゲンで滑ったら板が可愛そうだぜ?」
見てみたい。
「……形から入るタイプ?」
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