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 ちょっと煽ろうと思って嫌味っぽく言った。一生懸命に考えた板をお遊びで使われたのも癪だった。それに老若男女、いろいろと教えてるとそれぞれにタイプがある。基本的には褒めて褒めて褒めて最後に少しだけ注意する、それが人に教える時の基本。だが、たまに滅多に褒めない方が伸びるタイプもいる。それを見極めたかった。きっと眉をハの字にして困った顔をするんだろうと予想していたのに、その試験的な煽りは意外にもテキメンに効いて、ユキはムッとした表情をした。ストックを刺してコブ斜面に向かうと一気に滑り下りた。 「へえ……」  ユキは颯爽と滑る。コブからコブへとピョンピョンとウサギのように跳ねる。でも、こう、足に力を入れすぎてると感じた。オッチャンの滑り方。カービングではなく、昔の直線板の時の滑り方というか。  ユキが斜面の半分を過ぎた所で俺も跡を追い掛ける。ユキが選んだコブを滑る。先に滑り下りたユキは振り返って俺を見ていた。そしてユキの近くに止め、少し鼻で笑ってやった。 「……古い」 「え?」  そう、ユキは後者のタイプと判断した。けなして落としてたまに拾い上げてやると伸びるタイプ。 「滑りが古い」  案の定、ユキはムッとした。 「板は新品なのに勿体ない……ダサい滑り方」  ユキはムカついたのか返事もせずにリフト乗り場に向かった。俺も跡を追う。一緒にリフトに乗り込む。当然会話は無く、無言でリフトを降りる。 .
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