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「さて、続きをやるかな~。」
顔も洗い、目が冴えてきた寺島はコーヒーの入ったカップを片手に、秘密研究室へときびすを返して戻っていった。
「ウタタ寝ジャナクテ チャント休ンデクダサイ。人間ニハ睡眠ガ必要ダトインプットサレテマス。」
「そうもいかないよ」
寺島は歩きながらついてくる リンを横目に見ながら そっけなく反応した。
「一刻も早く完成させたいんでね。」
寺島は近くの空いている机にコーヒーを置き、緩めていたネクタイを締め直し、白衣のしわをのばした。
「完成トハ・・・。何ヲデスカ?」
「それは・・・。君の心。」
リンは寺島の言葉の意味がわからないらしく、無反応に突っ立ているだけだった。
「まだ足りない。一つだけ・・・出来ないんだ・・・。」
寺島は握りこぶしを作り、それを見つめた。
「そう。『心』というプログラム。」
「コ・コ・ロ・・・デスカ・・・?」
リンがそう言うと、寺島は口元を緩め、微笑しながら深くうなずいた。
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