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「あれ?ヨウ、サクヤは?」
「さぁな」
ヨウが旅館に帰った時、サクヤはまだ帰って来ていなかった。
だが、ヨウは、さっき会っていたのだからと、心配はしていなかった。
朝食を済ませ、昼に近づいてきても、サクヤは帰って来なかった。
「サクヤ…オレ探してくる!」
朝からずっと心配をしていたランが、旅館を飛び出す。商店街の会長や、他の店主たちも心配して、探しにいく。
だが、ヨウはそのまま、探しには行かなかった。
「…あいつなら大丈夫だ…」
それから、しばらくして…皆が慌てた様子で帰ってきた。
「サクヤくん、いたよ!!すぐに布団の準備を!!」
「え…!?サクヤ!?」
ランにおんぶされ、サクヤは戻ってきた。
サクヤの身体は、すっかり冷えてしまっていた。
寝間着に着替えさせ、布団に寝かせると
ランとヨウの2人だけになり、サクヤを見守った。
「サクヤ、滝の近くにいたんだよ。何があったか判らないけど、うずくまってた」
「…っ、そ…か」
ヨウは、ただ、それだけしか言えなかった。
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