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夕方を過ぎれば、ヨウは店を閉める。
だが、ランは日によるが、遅い日は、夜9時まで。
サクヤは、さらに遅い時間まで働いていた。
最近では、3人が顔を合わせるのは、めったに無くて、少し寂しくもあったが
たまに、互いの店に顔を出す時もあった。
しかし、サクヤはヨウの店には行かないし、ヨウもサクヤの店には行かなかった。
そんなある日、ランがヨウの店に来た。
ヨウは白いエプロンを着ていた。
「いらっしゃいませ…おぉ、ランじゃねえか!久しぶりだな」
「久しぶり!ヨウ、元気?」
ランの顔を見たヨウは、ニッコリ笑った。
「ああ、おかげさまでな。ラン、今日は何かいるか?サービスするぜ」
「いいの?じゃ、串カツ3本と…クリームコロッケ2つ、ちょうだい」
ヨウは、串カツをパックに詰めながら言った。
「なんだ、それだけか?じゃ、エビフライ、おまけしてやるよ」
ランは、慌てて言った。
「えっ!?ダメだよ、そんな」
「いいんだよ、たまにだから」
ランがお金を払うと、ヨウは、まだ熱い商品が入ったパックを袋に入れ、渡した。
「ありがとう。ヨウ、サクヤには会わないの?」
すると、ヨウは少し顔をうつむかせた。
「ああ…忙しいしな」
「そっか…じゃ、また!」
ヨウの表情を確認すると、ランは手を振り、帰っていった。
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