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またある日の事、ランは、サクヤの店に行った。
この日は、仕事が終わったのが少し早く、サクヤの店に来たのは、夜の8時半だった。
サクヤは、ねじりハチマキに白い調理着姿。
「へい!らっしゃい…って、ランじゃねえか」
「サクヤ!久しぶり」
「ああ、さ、座れよ」
ランは、サクヤの真ん前の席についた。
「何にする?」
「サクヤの、おまかせで握って」
「あいよ!」
手際よく、寿司を握っていくサクヤ。
ランは、一通り食べるとサクヤに言った。
「サクヤ、頑張ってるね。うまいよ」
「マジか?ランに言われると嬉しいよ」
サクヤは、他のお客さんの寿司を握りながらも、嬉しそうな表情を見せた。
「サクヤ、あのさ」
「ん?なんだ?」
サクヤが、顔をあげると、ランは言った。
「近いうちに、ヨウと3人で会わない?」
それを聞いたサクヤは、表情を曇らせた。
「…そうだな。ランと2人なら良いけどな」
「ちょ…サクヤぁ。なかなか会えないんだから。近くにいるのに」
サクヤも、ヨウも互いに会おうとしない。
ランは、複雑な気持ちだった。サクヤも、ヨウも大切な人間だからだ。
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