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『この世界には、月(ルナ)と呼ばれる、三日月の紋章を持つ者達がいる。』
『紋章者は、人々に嫌われて生活している。この物語は、月(ルナ)と呼ばれる、四人の紋章者達の生きた記録である』
「ふぅー、やっと終わったよ」
俺は、姉と分担した仕事がやっと終り、体を伸ばし
「お疲れ、レイ。星観祭に間に合いそうね」
そんなことをしていると、部屋から姉のカナエが出てきた。
「やっぱり、眼帯つけなきゃダメ?」
右目に三日月の紋章を持つ俺は、人前に出るには必ず眼帯をつけなければいけない。最近は、家からは出ることがなかったため、つけることはなかった。だから久々につけるのがなんだが嫌なんだよと思いながら、テーブルの上にある眼帯を見つめ。
「折角、レイの事を知らない村のお祭りなのよ」
そう言いながら眼帯を手に持ち、近づいてきて俺に差し出して
「わかったよ。じゃあ行こう、姉さん」
せっかくの姉さんの心使いを無駄にしないために、眼帯を受けトロ手早く身につけて、玄関に向かい。
「ちょっと待ちなさいよレイ、待ちなさい!」
あわてて姉さんが追ってくる。
「明日から、城下町で一週間泊まり込みの仕事に行ってくるから、いない間は家をお願いね」
俺達を匿ってくれている従姉のリューナ姉が、仕事の準備を済ませて椅子から立ち上がる。
「気をつけてな、リューナ姉」
俺はそんなリューナ姉に、こう言わずにいられなかった、理由はあまりわからない
「いま、王国は凄い警備みたいですからね」
妹のフィーナは、俺のいった言葉を今の王国のことと判断したらしい
「ありがとう、二人共」
リューナ姉は、そう言って家を出ていった。その後、リューナ姉の行方がわからなくなった
「お祭りみたいですね、キョウスケさん」
マリアは久々の町で、それも祭りとわかって、少し嬉しそうに俺に話しかける。だか、その顔はあまり嬉しそうにはとれない。
「星観祭、年に一度この時期に見える彗星をモチーフにしたお祭りらしい」
俺は、一度来たことのある町のため、この祭りの事を少し話してみた。
「そこのカップルさん、記念に絵をどうだい?」
どう見たらそう見えるのか分からないが、絵師は身を乗り出して話しかけてきた
「ち、違いますよ」
あたふたし、かなり困惑した様子を見せるマリアに助け船を出し、然り気無く作り笑いをして
「いえ兄妹ですよ」
実際、マリアとは兄妹ではない、それより血が繋がってもいない。
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