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AM7:50
普通の中学生なら学校へ行く時間。
同じく中学生の真由(マユ)は母の車に乗った。
「忘れ物は?」
「大丈夫。」
パタン。
車のドアを閉めた音。
真由に続き、真由の母も車に乗りこむ。
さっきと同じくパタンと音がして、車は走り出した。
壊れたというこでブランコが無くなった公園を過ぎ、真由のかよう中学校も過ぎたころ、真由の母が口を開いた。
別にそれまで無言だったからといって、親子の間に何かあるわけではない。
家からそこまでの距離がそれ程短かったということだ。
「先生に言える?」
「ん。」
そう言った真由はスピーカー付の音楽プレーヤ―を白い鞄から出した。
最近真由の友達がお気に入りのアーティストの新曲をかける。
喧嘩してサヨナラとまで言った男女が、結局は仲直りすると言ったありきたりな内容の、テンポの良い曲。
AM8:22
姫と毒リンゴがどうだなんて可愛らしい曲を聴いていた頃、車のなかで本を読んでいた真由は、外を見た。雨が降っていた。そして、ラーメン屋を過ぎた頃、また本を読み出した。
目的地に着くまで、
真由が蝶とベンチな内容の曲を聴いている間に説明しよう。
真由達が向かう先は病院。
少し前、真由は事故にあった。
テレビでは、真由は被害者で、相手は加害者だった。
真由が生きていることは何よりだが、被害者になるだけの被害を受けた。
他は言わない。
省略。うん、エコだ。
叫びながら病院の精神科に連れて行かれた小説の主人公に、なんとなく共感。
隣でやさしい言葉をかけてきた母に、なんとなく嫌悪感。
そんな自分を蹴り飛ばしたくなった。無理だけど。
真由に、いやこれも省略しよう。
病院についた。
おわり
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