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ドンドンッ
床下からの衝撃に青年は体をビクッと震わせた。
ボーッと外を眺めていたので誰かが上ってくる音に気づけなかったらしい。
「あれ、開かないなぁ・・・・なんでだろ?。」
かわいらしい疑問の声があがった。
どうやら床下の(あちらからすれば天井だが)の扉?が開かないようだが・・・。
まさかこの家の家主は女の子なのだろうか?だとしたら自分をどうやってここに運びこんだのだろうか?すごく気になった彼だがまずは
「あの、開かないならこっちからあけようか?」
と声をかけた。
「えっ、あ・・・起きていらしたんですね。ごめんなさい、お願いします。」
うん、と一言返して青年は床下の取っ手に手をかけ、扉を開こうとしたのだが思いのほかすんなりいかない。
これは確かに女の子の力では開かないだろう。
彼はもう一度踏ん張っておもいきり力をいれて開こうとしたがその前に扉が開いて逆に突き飛ばされてしまった。
「よかったぁ開いてくれて。アレ、どうしたのですか?」
どうしたもなにも俺が扉を開けるはずじゃなかったのか?と尻餅をつかされた彼は心中で愚痴をこぼしながら目の前の少女を見た。
年は16、7くらいで穏やかな雰囲気である。茶色っぽい金髪が背中まで伸びていて美しい。
ぱっちりとしたおおきな目がとても印象的で、まだ幼さが抜けきっていないが、近い将来美人になるだろうことは容易に想像がつく。
つまり中々の美少女だった。
「お元気そうでよかったです。道端で倒れているところ見たときは本当にビックリしちゃいましたよ~。あ、私リズっていいます。」
リズ、と名乗ったこの少女がやはり青年の命の恩人、らしい。
ということは・・・
「助けてくれて本当にありがとう。で、その・・・君がここまで運んでくれたのか?」
彼はずっと気になっていたことをリズに尋ねた。
「はい。そんなに重くなかったので結構楽でした。ちゃんと食べているのですか?えっと・・・」
たしかにここ4日ほどまともな食事は取れていなかったので体重が減っていてもおかしくはない。
さらに彼はもとから痩せ型だ。
それでも彼女が一人で大の男を屋根裏部屋まで運び込んだというのは信じられなかったがそういうことにしておく。
それよりも今は自己紹介だ。
「俺の名前は”シュバルツ”だ。シュルツでいい。君がいなかったら本当に死んでた。重ねて礼を言う。本当にありがとう。」
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