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「なに、難しく考える事はない。君は私の手を取り、私は君を家へと連れて行く。今日から君は私達の兄弟だ」
……………きょうだい?
そんな言葉初めて聞いた。今まで聞いてきた言葉にそんな言葉は存在しなく、それが何の意味を持つのかもよく分からなかった。レインはただただ、その言葉を放った男を不思議そうな目で見ることで、理解していない事を示した
そんなレインに気付いた男は、まるで子供をあやす父親の様に優しく頭を撫でて言った
「何(いず)れ分かる時が来る。さぁ、一緒に行こう。レイン」
レインはゆっくりと手を伸ばしその手を取った。男はその手をしっかりと掴みレインを立たせる。男の体温が手を通して伝わり、僅かにレインの手が温かくなる
初めて他人の手を握った。この男に会ってから初めての体験ばかりすると不思議な気持ちになりながらレインは連れられる様に部屋を出た
部屋を出た時に両端にいた兵士が冷たい目を向けてきた。レインにとっては兵士だけじゃなくこの施設に居る全ての人がそういった目を向けてくるので、それがごく普通だと思っていた
しかしこの男は違う……。今まで施設の中で自分に向けられてきた目とは違う目でレインを見てくる。これもレインにとっては不思議な体験だった
両端に立つ兵士などまるで見えていないかの様に男は歩き出し、レインもそれに従った
施設を出た瞬間、レインは目を焼くような眩しい光に目を細めた。光を見るなんて何週間ぶりだろう?最近は殆ど自室で待機していた為に、太陽の光など皆無だった
だがレインは太陽が嫌いだ。戦いの際に視界を邪魔する存在であり剣の反射が集中力を鈍らせる。レインは夜が好きなのだ。
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