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カインは左手を男に向け歓迎の素振りをみせる。レインもそれに習って男の方に振り向いた。彼は両手でフードを取るとその顔をこちらに向けた
「君が僕達の新しい兄弟か。よろしく、レイン」
ゆっくりと差し伸べられる細い手は美しい白色をしていた。彼の容姿は純白でかつ凛々しく、青年でありながら大人の雰囲気を醸し出す
首まで伸びた真っ直ぐな黒髪は、彼を唯一子供に見せるが、冷静沈着を纏う彼の瞳は、透き通った紫だった
彼の手を取った所で、カインが説明を加えた。創設者の一人であり、No.Ⅱ【ロイ・サルフェ】、皆はロイと呼んでいるらしい。レインもそれに習った
「よろしく………ロイ」
それからレインは幾つかの説明を受けた。視界一杯に広がる樹海の先に目的地の【黒の機関】がある事。そしてそこに行くには巨大な馬車では行けないが為に、徒歩で移動する事
レインは終始無言で頷いていた。彼にとっては敵が出る訳でも、自分の身に差し迫る脅威も無い為に、特に問題はなかった
ただ歩くだけ、問題ない。そんな理解をしたレインは、樹海に入っていく二人に続いて薄暗い闇の中に消えた
それから半日程歩き、目的の地【Assassin gild―XⅢの塔】に着いた。途中、幾つかの【魔獣】と呼ばれる生物に出会ったが、奴等は喉の奥を鳴らして威嚇するだけでそれ以上襲ってくる事は無かった
それは恐らく前を歩く二人から放たれる威圧感を魔獣は感じ取り、危険を冒してまで襲う気にはなれなかったのだろう。返り討ちにされるのがオチだ
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